「はい。昨日からクラリス様のお手伝いにご指名されたんです。クラリス様はとってもお綺麗で、あたしの憧れなんですよ」
にこにこと嬉しそうに話す。
クラリス嬢のことでは驚いたけれど、リリーさんは悪い人ではなさそうだ。
「リリーさんも可愛いわよ」
笑って返す。
実際、リリーさんは可愛かった。
ふわっと巻いた肩位までのオレンジ色の髪を、耳の下で縛っている。明るい茶色の瞳は、子猫のようなアーモンド形で、明るく前向きな雰囲気だ。彼女自身、そうなのだろう。
初対面で、いきなり泣きついたわたしとは大違い…。
そう思うと少し悲しくなった。
会ったばかりの女の子をひがんで、わたしはなんて性格が悪いんだろう。
リリーさんは、「そんなことないですよぉ」とからりと笑う。
人懐っこい人みたいで、最初の緊張した雰囲気はいつの間にか霧散していた。
それじゃ、ドレスを見ましょうかと言われて、そうねと頷く。
「これなんかどうですか?」
フリルがたくさんついた淡いピンクのドレスを差し出され、わたし達は和気藹々とドレス選びを始めた。