「……わぁ……」
一言発して、息をついた。
というか、それしか反応できなかった。
舞踏会用の衣装部屋があるので、そちらで好きな服を選んでくださいーーそう言われ案内された部屋は、予想以上に大きかった。
その広い部屋に所狭しと並べられたドレスや装飾品は、呆れるほどに数が多く、そしてどれも最高級品のものばかり。
シルエットの綺麗なマーメイドドレスや、シルクのAタイプドレス。品の良いワインレッドや、少し露出が多く艶やかな、光沢のあるピンク。
キラキラ輝くダイヤモンドのティアラや、胸元を豪華に飾るネックレスは、メイド時代に沢山の奥方が身に付けていたのを見てきた。
……まさか、自分がつけることになるなんて。
喜びより困惑。やっぱり貴族の生活にはついていけない。
「この部屋はノアさん専用ですから、どのドレスのサイズも合っているはずです」
グレイが丁寧に言うけれど、いつの間にかサイズを計られていたことにも驚きだ。