それでも、残酷に日はおちる。
夕暮れになり、わたしとグレイは部屋へと戻った。
髪飾りはドレスのポッケにしまっておく。部屋に入ると、そこにはすでに伯爵がベッドに座って待っていた。
「遅かったな。庭に通っているというのは本当だったのか」
「……いけませんか?」
「いや。餌が何をしていようと私には関係がないからな」
そして、来いと命じる。
わたしは内心溜め息をつきながら、ベッドの中へと連れ込まれた。
ーーお食事の時間。
けれど今日のわたしは、いつも以上に、“食事”をされたくなかった。
だって……グレイが。
グレイがいる。
伯爵との食事中こそ、グレイはいつも部屋の外で待っているけれど……仮にも恋人に近い立場のわたしが、ほかの男性に血を吸われるのを、グレイはなんとも思わないのだろうか。
……もちろん、グレイは伯爵のしもべ。逆らえないことはわかっている。
わかっているけど……。