「……でも、本当にもらっていいの?」

髪飾りに目を落とす。
わたしだって女の子だ。メイド時代の時もこういうものに憧れたりはした。

けれどだからこそ、こういったものが結構な値段なのを知っている。

おまけに、アンティーク風でキラキラ輝く石が花の形にはめ込まれたバレッタ型のそれは、どことなく高そうだ。

けれど、グレイは頷いた。

「はい。私はただ、ノアさんに喜んでもらいたかったんです」
「グレイ……」

髪飾りを握り締める。
どちらからともなく視線が合い、わたし達は、二度めの口づけを交わした。

わたしは間違いなく、幸せだった。