それは、花の可愛らしい髪飾りだった。

表に散りばめられた色とりどりの小さな花に、裏には金具がついている。
控えめで可愛いそれは、わたし好みだった。

「どうしたの?これ」
「……先日、街に出かけた時に、見つけたんです。……ノアさんに、似合うかと」

恥ずかしそうにうつむき、ぼそぼそと話すグレイ。

「……貰って、いただけますか?」

わたしはにっこりと微笑んだ。

「ありがとう、グレイ……嬉しい!」

こんなに嬉しいプレゼントはない。
わたしは、その髪飾りを大切に受け取った。

グレイは、何度もわたしを喜ばせてくれる。