「どうしたんですか?」

ついてきたグレイに、わたしは教えてあげる。

「コスモスよ。可愛い……」

小さく揺れる、白いコスモスを指さす。

「あ、こっちにはシロツメクサね」

駆け寄ってよく見ると、所々に色々な花が咲いていた。
花は好きなので、ちょっとした幸せを見つけた気分で眺める。

と、あることに気づいた。


「……あら?」
「どうかしましたか?」
「……どうして、違う季節の花が咲いているのかしら」

わたしの勘違いだろうか?

でも、確かシロツメクサは春で、コスモスは秋だった気がする。
よくよく見れば、夏や冬の花までちらほらと咲いていた。

「……?」

するとグレイが教えてくれた。

「ゴーストタウンでは、気候が安定しているので、様々な季節の花や植物があるんです」
「へぇ……!いいわね。一度に沢山の花が楽しめるわ」

微笑むと、グレイはわたしを見て、なぜかほっとしたような顔になった。

「……良かった。やっぱり、花がお好きなんですね」

「? ええ。花はとっても好きよ」

頷くと、グレイは執事服のポッケから何かを取り出し、わたしに差しだした。

「……わ、綺麗……!」