しかも、昨晩の痛みよりも酷い気がした。
……絶対にわざとだ。
好いて欲しいなら、もっと自分に惚れそうな女の人のところに行けばいい。
従って欲しいなら、もっと楽な女性の血を吸えばいい……どうしてわたしなの。
今回は慣れたせいか、昨日のように意識を失うことはなかったけれど、その分血を吸いあげる音や、傷を舐める水音が耳に響いて、背筋がぞくぞくした。
数十分ほどそれに耐え続けると、ようやく唇が離れていった。
終わった……。
荒い息を繰り返すわたしに、伯爵はやけに優しい声で話しかけた。
ただし、瞳は笑っていない。
「私の名を覚えているか?」
「……セルジュ様」
吐き捨てるように呟くと、「物覚えは悪くないようだな」と満足げに笑い、去り際、わたしに言った。
「せいぜい反抗していればいい」
そうして、バタンと音を立てて扉が閉まった。