グレイのせいでは、ないのだけど……どうしてもテンションが下がってしまうのは仕方ないと思う。

早くも食欲がなくなってきたとき、グレイの一言で沈んだ気分が浮上した。


「ですから、無理をしないでください」


「……ねぇ、グレイ」
「なんでしょう」
「あなた……」

ねえ、あなた、それ無自覚に言ってるの?
そう問い詰めたい気分を押し殺して、わたしは火照った頬をどうにか冷やそうと苦闘しながら、代わりに別の質問をした。

「あなたは、どうして……そんなにわたしに良くしてくれるの?」

すると、グレイは黙って、しばらくして

「……わかりません」

と、か細い声で呟いた。