「それ、差別されているのかしら」
まるで隔離されてるみたいねと何の気なしに言うと、グレイは首を左右にふった。
「いえ、逆です」
「えっ」
「離れは一番待遇が良く、アルハイド伯爵は大層ノアさんのことを気に入っていました」
……全く嬉しくない。
けれど、いいことを聞いた。
てっきりわたしは、これから毎晩血を吸われるのかと思っていたけれど、他にも沢山女性がいるなら、次吸われるのは、幾分か先だろう。
ところが、グレイの一言によって、その希望はあっさり打ち砕かれた。
「気に入られなかった女性は、すぐに捨てられてしまいますが、気に入られた方の“食事”は頻繁にあります」
……。