「基本的には、普通の食事で保ち、3日おき位に動物の血を飲んでいます」
「……そう」

なんだかほっとする。
するとグレイがついでとばかりに話を続ける。

「吸血鬼は、毎日血を飲むわけではありません。伯爵のような地位の高い方は、毎日飲むこともできますが」
「へえ……」
「ですが、1人の女性から毎日飲んでいては、その女性が保ちませんので、沢山の女性を屋敷に置くんです」
「……えっ、そうなの?」

それは初耳だった。
それなら、わたしの他にも女の人がいるのだろうか。

「でもわたし、他の女の人に会ったことないわ」

来たばかりだから当然かもしれないけれど、ここに来る途中にすら会わなかった。

「ノアさんの部屋は、離れの屋敷ですから」

グレイによると、離れに住んでいるのはわたしだけらしい。