いよいよ暇になったわたしは、あまり期待はせず、グレイに尋ねてみた。

「ねぇ、グレイ。部屋の外に出てもいい?」
「入り要のものがあるのでしたら、私が持ってきますが」
「そうじゃなくてね、グレイ……」
「ではお腹がすいたのですか?」
「…それも違って……」

なんと言ったら伝わるだろう。散歩したいというのも違うし……。
言葉を探していると、突然扉がノックもなく開いた。


「屋敷中なら、好きに歩きまわって構わない」
「っ……!!」

びくりと肩をはねあげる。
現れたのは、伯爵だった。