やっぱり、伯爵の客人だからだろうか。
それとも世話係だから?
それにしたって、ここまでしてくれるいわれはないはずだ。着替えの手伝いはともかく、昨日の……あの優しい言葉。
ただの使用人が、伯爵の『餌』にしてくれることにしては、なんだか親身になってくれすぎている気がする。
もちろん、嫌ではないのだけど……。
それに、グレイが無表情なのも不思議だった。
と、考え込み始めたところに、グレイが言う。
「朝食はどうしますか?」
「えっ、あ、ああ……朝食、そうね、朝食は……」
どうしますか、と言われても、今はあまりご飯を食べたくはない。風邪をひいている日みたいに、食欲がないのだ。
「えっと、朝食はいいわ」
首を振って断ると、すぐにグレイは反応した。
それはもう、過敏すぎるほど。
目を大きく見開き、どこか焦ったように言った。
「いけません、食べてください」
「……え、でも」