頭がくらくらする。
セルジュ様と呼べ、という言葉を耳にして最後、わたしの意識は闇の中に落ちた。
わたしが、本当の痛みというものを初めて知った夜だった。
……暗い。
暗いところは嫌。暗闇には、何もない。わたし以外、誰もいない。
ひとりは、怖い。
幼かったわたしを、闇から救ってくれた母さまと父さまはもういない。
わたしはひとりで生きていかなければならない。
……ひとりは、嫌だ。
「…………」
目を開けると、ベッドの上だった。起き上がろうとし、頭が痛くて、諦める。
……昨日の夜のことを、思い出したくない。