アルハイド伯爵がわたしの部屋をたずねたのは、次の日の夜だった。

この日、わたしはグレイと一度も言葉を交わさなかった。ただ、グレイはずっとわたしの部屋の隅で立っていた。世話係とはこういうものなのだろうか。

グレイが運んできた夕食を食べおわり、お風呂にはいった。夕食は豪華で、バスルームも広く綺麗だったけれど、何も嬉しくない。

アルハイド伯爵が来たのは、ちょうどわたしがバスルームから出たときだった。



ノックもなしに突然開いた扉に驚く暇もなく、ベッドに押し倒された。

「っ!!」

息を飲むほど綺麗な顔が間近に迫る。
そして、悪魔のように告げた。



「ノア。食事の時間だ」