「颯くん、ありがとう」 「ん?」 「好きになってくれて、ありがとう」 ぎゅっと、颯くんに抱きつく手に力を込める。 「そんなの俺のセリフだけど」 「ううん、颯くんのおかげで、あたしこの1年間すごく楽しかった」 自転車をこぐ颯くんの表情は、見えないけど。 「うん、俺も桜華のおかげで楽しかった」 きっと、優しい顔してるんだろう。