そして観覧車に乗りこんだ。
遠くに見える、綺麗な夜景。
地上から切り離された観覧車は、ゆっくりゆっくり動く。
なに、話せばいいんだろう。
密室で2人きり。
滅多にないことで、緊張する。
「綺麗だな」
口を開いたのは、颯くん。
「そうだね」
「また、来年も乗りたいな」
「うん、絶対乗る!」
いつまでも、一緒にいたい。
来年だけじゃなくて、再来年も、また次も。
一緒に観覧車に乗りたい。
「…でもね」
「ん?」
「あたしの特等席は、観覧車より颯くんの自転車の後ろだよ」
少し驚いて、笑った颯くん。
「じゃあ今度は桜華が前に乗る?」
「や、無理!絶対フラフラしちゃうもん」
「はは、確かに」