「……で、どうかしたの?」
すっかり葉が落ちてしまった並木道を歩きながら、隣を歩く颯くんを見上げた。
「や、あの…」
吐く息が、白く染まる。
「クリスマス、デートしない?
…2人で」
ビックリして思わず立ち止まったあたしより、三歩進んでから振り返った颯くん。
「…ビックリ、した」
「あぁ。2人きりでデート、したこと無かったもんな」
「違う、そうじゃなくて」
え?と首を傾げる颯くん。
「同じ事考えてたことが、だよ」
「え…」
同じ事を、思ってた。
今あたしたちを包むのは、同じ空気。
あたしたちが見ているのは、同じ景色。
それだけの事がどうしようもなく愛しくて、差し出した手。
何も言わずに、そっぽを向いてそれを握った颯くん。
表情は見えなくても、耳が赤い颯くんに、また嬉しくなった。