たくさんの女の子の間を通って、イケメンな彼に駆け寄る。
「颯くん!」
「あ、来た」
門に寄りかかっていた体を起こして笑ったのは、颯くん。
「どうしたの?」
「んー、ちょっと」
ハテナマークが頭に浮かんでいるあたし。
だけど会えたことが、うれしくて仕方ない。
「え、嘘。桜華ちゃんの彼氏って…」
「あの人、噂のバスケ部3トップの1人だよね!?」
「桜華ちゃん、超うらやましい!」
そんな声が聞こえて、ハッと我に返る。
そう言えばここは校門だった。
「桜華!あたし、先帰るね!」
ぱちん、とウインクをした桃。
きっと“がんばれ”の合図。
「ありがとう!」
「ゴメン、桃ちゃん!」
あたしに続いて謝る颯くんに、いえいえ~、と笑う桃。