「あの……颯くん、足速いの?」
見るからに速そうだけど、聞いてみた。
「うん、めっちゃ速いよ。特に今年のリレーは」
「特に…?」
意味がわからなくて聞き返すと、水樹くんは面白そうに笑って
「桜華ちゃんにいいとこ見せるって張り切ってるからね」
「っ…」
顔が熱くなる。
あぁ、やっぱり会いたい。
恥ずかしくて、でも嬉しくて。
俯いたあたしを見て、水樹くんは更に可笑しそうに笑った。
「み、水樹くんは好きな人とかいないの!?」
話題を変えようと、水樹くんに質問してみる。
「んー、どうだろうね?」
「え、いるの!?」
「さぁね」
「もう……」
うまくはぐらかされた。
2人きりで話すのは初めてだったけど、ほとんど颯くんの話ばかりしていた。