そしてクッキーの材料を買ってスーパーを出た時には、もう外は真っ暗だった。
「ん?メール…」
時間を確認しようと携帯を取り出すと、メッセージを一件受信していた。
受信:綾崎颯
その文字を見るだけで嬉しくなる。
《今、家着いたとこ。
桜華ももう帰った?
お疲れ!》
「桜華ちゃん?」
すぐ返信しようとすると、不意に後ろから名前を呼ばれて振り返る。
「水樹くん!」
バスケ部の王子様こと、水樹くんがいた。
「あれ、桜華ちゃんの家こっちだっけ?」
「ううん、ちょっと用があって……」
「もう暗いし、送るよ。家どこ?」
「え、いいよいいよ!」
「ダメダメ、あ、でも颯に妬かれちゃうかもな」
クスクス笑う水樹くん。
「や、そういう問題じゃなくて…」
「でも、俺が桜華ちゃんを1人で帰したって聞いても、それはそれで怒るだろうから、送る」
「…じゃあ、お願いします……」
「了解」