PM 11:30



「あと少しだなぁ・・・」

んっ・・・。

遠くに、ココの声が聞こえる気がする。

「ルウ?」

あ、可愛い手。

くすぐったいよ。

こら、肩、触るなって。

「ルウ、寝ちゃった?」

何だよ・・・。

「ねぇ、ルウ・・・」

・・・しょうがないな、ほんとに。

「・・・どうした?ココ」

「あぁ・・・!ルウ!」

もう・・・ココ。

だから、その笑顔。

嬉しすぎるんだよ。

オレって、こんなに・・・。

「ルウ・・・」

「ココ、可愛いな」

「わっ、ほんと?」

オレって、こんなに・・・。

気持ちを言葉で伝えられていたかな。

「ココ?」

「ん?」

「何が、あと少しなの?」

「あ・・・聞いてたの?」

「うん」

「・・・今日が・・・だよ」

「・・・え?」

もしかして・・・。

「僕の誕生日」

新しい一歩を踏み出す時。

もし。

大切な人が不安なのだとしたら。

オレは何ができるだろう。

きっと・・・。

「きゃっ、ルウっ」

オレにできることは、ひとつだけ。

「ルウ・・・。僕、だいじょうぶかな」

シーツごと、ココを抱きしめよう。

「大丈夫」

ココと、明日も。

ずっと一緒に。

「・・・ルウ、ありがと・・・」

ぼんやりした瞳で、伝えてくれる。

「ココ、おやすみ」

誕生日、おめでとう。