PM 8:00



ココの細い指が、愛しい名前をなぞる。

オーダーメイドで、ココの名前を入れた。

オレからの誕生日プレゼント。

可愛らしく微笑んで、もう何度も、そのシザーに触れる・・・

「・・・てか、なんでオレの髪、触ってるのかな?ココ」

シザー、もっと眺めろよ。

遠いよ、ソファーの彼方に見える。

「ルウ」

でも、ココに見つめられると。

オレは何も言えなくなる。

優しい、純粋な気持ちに。

ゆっくりと癒されているのは。

きっと、オレの方だ。

「ココ、ありがと」

大切な日に、大切なことに気付けた。

ありがとう。

「え?ありがとう?じゃあ、僕、切っていいの?」

「あ?」

「あ?じゃないよ。さっきからどうしたの?ぼーっとしちゃって」

「え?」

「もー。ルウの髪を最初にカットするの」

「はぁ!?」

「シザー、ありがとう」

オレ、やっぱりココのシャンプーが良いな・・・。