美容室、流宇心。

ルーシン。

ルウと僕、心の名前を並べただけなんだけど。

お客さまのすてきな時間が流れるようにと。

僕は、ルーシンに今日も願う。

「トリックオアトリート♪」

ルウってば、まだハロウィンしてる。

僕らは、季節のイベントに合わせて、お店の飾り付けをする。

なんかクリスマスを勘違いしてて、僕に却下されたオーナメントを、ルウは頭に付けて遊んでる。

「ココ。トリックオアトリート!」

「もー、僕、まだ仕事してるでしょ。ルウも手伝ってよ」

あぁ、これ、鏡の上に付けたいな。

うっ・・・背が・・・届かない。

「・・・はい、この辺で良い?」

すっと、手を伸ばして、助けてくれる。

「あ、ありがとう」

ルウの毎日の優しさが、僕をまた笑顔にしてくれる。

「トリックオアトリート」

あれ?

なんか、ルウの顔が、近い・・・。

「お菓子くれないと」

「ルウ?」

「食べちゃうぞ。ココちゃんっ」

わっ、わわわわ・・・。

だから、ハロウィンは、もう季節外れなんだってば。