閉店後、僕はミアちゃんに誘われて、駅前のカフェレストランに向かった。

「え?ココ、誰と?デート?もしかして・・・浮気!?」

ルウが、準備する僕の周りをバタバタと追いかけてきて、逃げるのが大変だったけど。

「ミアと会うの?ココ、ずるいっ!オレも行く」

これは僕、彼女として怒って良いとこ?

「遅くならないようにね・・・。ココのご飯食べて待ってるから」

今日はルウのだいすきなクリームシチュー。

お昼休みに作っておいたんだ。

ミアちゃんは、もう着いてるだろうなぁ。

僕、こんな可愛いレストラン、初めてだよ。

「ごめんね、遅くなって」

「おつかれさま。おなかすいてたから、先、頂いてるよ」

「おいしそう。私、どうしようかな」

・・・って、ミアちゃんが食べてるの、クリームシチューだ・・・。

「いいよ、無理に女の子にならなくても。僕でいいよ、心くん」

「しーっ。ダメだよ、聞こえるって」

あ、誰も知り合い、居ないのか。

「あれ?心くん、クリームシチューの香りする」

「え?ほんと?ルウに食べさせてたからかな」

「きゃっ。一緒に住んでるの?」

「うん・・・まぁ。上京してからずっとだけど」

「そっかぁ。ルウのことよね、夜は大変でしょ」

「ほんと、そうなんだよ・・・って!?ミアちゃん!?」

「お互い様だから、ね?」

ダメだ・・・。

なんか、恥ずかしい・・・。

ルウとミアちゃんのこと、考えてしまう。

「でも、どうして僕のこと、分かったの?」

「お店紹介のスタッフ写真。心くん、いつも写真撮る時、首傾げる癖あるでしょ。それで、お顔もよく似てるし」

「あ・・・」

「ルウが気付かないのが不思議すぎる」

僕も、ルウのそばに居ることを奇跡のように思う。

「それで?ほんとに女の子になっちゃったの?」

気付けば、僕は。

長い長いおとぎ話をミアちゃんに話してた。