「お湯加減はいかがですか?」

ルウが、鏡の中で髪のバランスを見るように、僕は、流れるお湯を使って髪の様子を知る。

高校時代まで一緒に過ごしてきた人の髪に触れる。

ミアちゃんの髪、僕の今の髪質と似てる。

空気を含んだように軽い感じ。

ルウも触ったんだろうな。

ミアちゃんは、ルウの彼女だったから。

「・・・心くん」

あれ?

シャワーの音が僕を呼んだ?

「心くん。いつから女装が趣味になったの?」

違う・・・。

ミアちゃんの声だ。

「心さんですか?私は、ココですよ」

ど・・・どうしよう。

どうして分かったのかな。

「ルウには内緒にしておいてあげるから」

ほんとのことを話したら、どうなるのだろう。

「私に・・・教えて」

不安よりも、ミアちゃんが聞いてくれることに。

僕は手を伸ばしてみようと思ったんだ。