熱はなかなか下がらなくて。

32にもなって病院は嫌だと駄々をこねるルウを引っ張って、診てもらった。

「なんだよ、インフルエンザって」

僕も知らないよ。

冬の始めにかかる人なんて。

「ルウ、予約してくださってるお客さまに連絡入れとくね」

「え?すぐ治るって」

「お医者さんの話、聞いてなかったの?一週間、お仕事できないんだよ」

「そう・・・なのか」

シュンとしちゃってる。

仕事、ほんとに楽しみなんだな。

「でも・・・」

お布団の中から、ルウの声が聞こえる。

「でも、ずっとココとふたりっきりで居られるな。嬉し」

熱で顔が紅いのかな。

ルウ、僕なんかで、ほんとに良いのかな。

昨日のこと、もう忘れちゃったのかな。

「ルウ、ゆっくり休んでね」

少し汗ばんでるルウの髪に触れてみる。

「ありがと。ココ・・・」

閉じてしまいそうな瞳で、僕を見つめてくれる。

「おやすみの、チュウ」

「え!?ダメダメ、インフルエンザ」

「・・・うぅ。分かったよ。ココ・・・」

「ん?」

「好き」

僕はルウのこと。

すき・・・なのかな。