時折、彼女の柔らかい笑い声が間に入ってなんだか照れ臭かった。


「つんちゃん…」


『ん~?』


「…俺の事、忘れてなかった?」



何を言っているんだろう。


変なことを言ってしまったと思った。


ほんの少し後悔した後に、彼女はこう言った。



『ばぁか。忘れるわけないでしょ?』


「…そっか」


『けーすけは忘れちゃってた?私の事』



いつもなら聞かないようなことを聞かれて、俺の心臓は小さく飛び跳ねた。


どうしてだろう。


その質問に、即答出来ない自分が悔しかった。


そして、彼女は少しだけ寂しそうに言った。



『…受験大変だもんね?』


「…うん、まぁ」



小さな嘘に、罪悪感を覚えた。