家に着き、自転車を乗り捨て、自分の部屋へ戻った。


バタン!と乱暴に扉を閉めた所為かリビングに居た母親が何か大きな声で言っている。


どさっとベッドに寝転び、天井を見つめる。


大きく息を吐きだして目を閉じた。


思い出すのは今年の春先…


あの子との出会いから今までの事だった。



最初は小さな子犬みたいに怯えてるように見えたあの子。


少しずつ話すようになって笑うようになった。


可愛いなと思った。


こんな妹が欲しかったな…とすら思った。



それがダメだったのだろうか?


次第に近づく距離。


俺の中を知ろうとするあの子。


寂しそうに「応援する」と言ったあの子。



…俺の何がいいんだ。


何も知らないのに。