それに気づいたのは美咲さんだった。



「実子?どうした?」


「え…」


「なんか、元気ないから。疲れた?」



少し心配そうに視線をあたしに向ける美咲さん。


眉毛をハの字にしても綺麗だなんて、ずるい。


あたし、こんな人の間に割り込むなんて無理じゃん。


あたしの心はどんどん卑屈になっていった。



「…下駄で足痛くなっちゃった?」



美咲さんはスカートを地面につけないようにしゃがみあたしの足を見る。


少しぐらつくあたし。



「けーすけ。実子に手か肩かしてあげて!気を利かせろ!」



美咲さんの言葉に先輩は素直にあたしに手を貸してくれた。


つい数秒前まで美咲さんと繋がっていた手。


それなのに初めて触れる先輩の手は美咲さんよりも温かくて、なんだか少し安心した。