美咲さん、ごめんなさい。


あたし本当は先輩に会いたいだけだったの。


だから、美咲さんの名前出しちゃったんです…。



あたしの胸には小さな罪悪感があった。


あたしの手を握る美咲さんの手はどこかひんやりしていて、気持ちがよかった。


だけど、それ以上に気になるのは反対側で繋がれている美咲さんの手と先輩の手。



あたしの位置からは見えないけれど、きっと繋がれているんだろう。


美咲さんの肩にかかっているカバンが肩から外れそうなのを先輩が直していたから。



―ヒュー…ドー…ン



夜空に大きく開く色とりどりの花。


きっと綺麗なはずなのに、前がぼやけて上手く見えない。


泣いちゃダメ。


今日は楽しむの。


夏休みは楽しくなくちゃ意味がないんだから。


二人の間に入り込めただけで喜ばなくちゃいけないんだから…―。