俺らは車に乗り込み、彼女がエンジンをかけてすぐに出発した。



「なぁ、つんちゃん」


「なぁに?」



何気なく返事をする彼女。


俺は話すことは決めていなかったけど、そんなもの俺らの間には不要にも思えた。



「来週さ、花火大会らしいよ」


「もう、そんな時期かぁ~」


「3人で花火大会行かない?」


「3人?」



彼女は少し驚いたように聞き返してきた。



「ちびちゃんも一緒に」



彼女は「あ~」と言って微笑みながら、こう続けた。



「いいけど、私、人ごみ嫌いなんだけど…」


「あー。そっか…じゃぁ、無理か…」


「なんか、今、ショックだったんだけど」



その割に彼女はケラケラと笑っていた。


俺としたことが。


美咲さんは人の多いところが苦手だ。


ごちゃごちゃしてて酔ってしまうらしい。


朝のラッシュのときは一番前の車両に乗ったりしていたっけ。