わいわいと話が弾む。


俺は、聞くことしか出来なかったけど、凄く楽しい。


美咲さんが少し席を立ったとき、友人の一人が俺にこう聞いてきた。



「ねぇ、圭介くん。つぐみの事、どう思ってるの?」



凄く単刀直入でビックリした。



「つぐみは、‘弟だよ!’の一点張りなんだけど、圭介くんは?つぐみの事好き?」


「おい…」



その質問を翔さんが制止しようとしたけど、彼女の口は止まらなかった。



「だって、用もないのに会ってたりするんでしょ?それってさつぐみが自分で気付いてないだけで、恋愛感情なんじゃないかなって思うのよ」


「いや、恋愛感情では…ないですね」



俺は自信を持って言った。


そもそも、恋愛感情なんて不確かなもの、俺と美咲さんの間に芽生えない。


そんな脆い感情なんて信用できない。



「確かに、大事な存在ではあるけど…」



俺がそう言ってるときに美咲さんは戻ってきた。


彼女は笑いながら、



「なに?けーすけイジめてんの?やめてよ。私が許さないよ」



と言っていた。



「なんか意地悪された?」



美咲さんは少し心配そうに俺に問いかけたけど、俺は小さく微笑みながら首を左右に振った。


そのやり取りを見ていた翔さんが吹き出して笑っていた。



「なんか、あれだな。圭介くん居るとお姉さん面すんのな。お前」


「だって、お姉さんだもん」



彼は「へぇ…」と呟き、新たな煙草に火をつけた。


どことなく余裕が感じられる翔さんが凄くカッコよく見えた。


俺とは真逆の人なんだろう。


男らしいという言葉がとてもよく似合う。