俺は、今、どんな顔をしたらいいんだろう?


美咲さんたちの話が、よく分からなくて少し疎外感を覚える。


そんな時、美咲さんが小さなメニューを渡してくれた。



「なんか、頼んでいいよ。暑かったでしょ?」


「あー、圭介くん、気が利かなくてごめんね。好きなの頼んでいいよ~」


「あ、すいません。ありがとうございます」



幾分か体が硬くなってる俺に美咲さんは、スッと綺麗に手を上げて店員を呼んでくれた。


店員はすぐにやってきて、俺はアイスカフェオレを注文した。



「やっぱ、アイスカフェオレだ。そうなんじゃないかって思ったんだよね」



煙草をふかしながら言う美咲さんに友人の一人がこう言った。



「そこまでわかるの?超仲いいんじゃん」


「話では聞いてたけどねー!」


「圭介くんもつぐみの事はわかっちゃうの?」



なんだか、興味を持たれてしまったみたいだ。


物珍しいだけだろう。


たくさんの質問をされるけど、気の利いた返事が出来ないことが、なんだか申し訳なくなってきた。



その時、翔さんは我関せずといった感じで、煙草をふかしながらアイスコーヒーの入ったグラスを持ち、それを飲んでいた。


そして、苦笑しながらこう言った。



「圭介くん、こいつらいつもこうなんだよ。五月蝿かったら『うるせー』って言った方がいいぞ」


「何それ!失礼にもほどがあるー!」


「だけど確かに五月蝿い」



思わず俺も笑ってしまった。


美咲さんは、いつもこんな感じで笑ったり喋ったりしているんだ。



今、俺の隣に居る美咲さんは、俺が初めて見る美咲さん。