自動扉が開いて、彼女は友達が居る席まで俺の手を引いて連れて行った。


女友達だけだと思っていたが、そこには一人の男の人が煙草をふかしていた。



「お待たせ。これ、けーすけ。私の高校の後輩」



俺はぺこりと軽く頭を下げて美咲さんの隣に座った。


美咲さんの女友達は「よろしくー」等口々に言っていた。


美咲さんは俺に丁寧に友人たちを紹介してくれた。



「で、この人が翔ちゃん」



翔ちゃん…。


彼女の口ぶりからすると仲がいいのだろう。


なんだか、少しだけ妬けてくる。


妬けると言っても恋愛感情とかそういうものではなくて、何となく妬ける。


きっとこの人は俺の知らない美咲さんを知っているのだろう。


俺に見せない弱音とかも聞いているのだろう。


俺には彼が随分大人に見えた。



「翔ちゃん、けーすけが来たから肩身狭くないね」


「本当だよ。手のかかる姉さんで大変だな。圭介くん」


「いやぁ…」



初対面の人にどんな言葉を返せばいいのかわからない。


今の受け答えが俺には精一杯だった。



「けーすけも、翔ちゃんが居るから色々相談乗ってくれるかもよ?」


「何?なんか悩んでんの?」


「けーすけに悩みがないことなんかないよ。ね?けーすけ」



なにも言い返せなかった。


今日の美咲さんはいつも以上に良く笑う。


なんだか凄く楽しそうだった。