10分ほど電車に揺られて、目的地へ着いた。


俺は改札をすり抜けて、彼女の姿を探す。



「けーすけー!」



ヒールを履いている所為か小走りをする彼女の姿がなんだかおかしかった。


そんなに走らなくてもいいのに。



「つんちゃん、ヒールなら走らなくてもよかったのに」


「喫煙所に居たからさー。私、居なかったらけーすけ帰っちゃうかもって思ったの。それに…」



彼女の言葉に俺は笑ってしまった。


彼女の言葉にはまだ続きがあった。



「人見知りのけーすけに現地まで来いっていうのは酷な気がしてさ。本当に嫌だったら帰ってもいいからね?」



同じ高さくらいの目線の彼女の眉が少し不安げに下がる。



「大丈夫。お姉さま達の話を聞いて勉強しますよ。人生を」


「何それ」



そんな話をしていたら、あっという間にカフェに到着した。


勿論、喫煙席のあるカフェだった。