「行ってもいいけどさ…」



俺は思わず口ごもってしまう。


今、彼女の居るカフェに行ってしまえば彼女の友達が居るのだろう。


こう見えて俺は人見知りだし、なんだか気が引けてしまう。



『友達も居るけど、無理って思ったら帰ってもいいし』



彼女は周りに聞こえないように、きっと電話口に手を当てて喋っているのだろう。


こそこそと秘密の話をしている気分だった。



『大丈夫だよ。私もいるから』



‘私もいるから’


その言葉に背中を押されてしまった。


俺は、「今から行く」そう言って電話を切り、駅へと歩き出した。