だけど、先輩の言葉は続いた。



「好きって表現は難しいなぁ…」


「え?」


「日本語の好きって言葉は難しい。思わない?」



先輩の言っている意味がさっぱりわからなかった。


『好き』が難しい?


あたしが首を傾げていると先輩は、こう続けた。



「だってさぁ?好きって2種類あるじゃん?」


「2種類…?」


「そう。LOVEとLike。」


「……。」


「恋愛感情の好きは‘LOVE’で、ただ単純に好きなのは‘Like’」


「あぁ…」



先輩の言いたい意味がよくわかった。


好きにも色々あるということだ。



「じゃあ、美咲さんは…」



あたしはさっきの悲しさを吹き飛ばしたくて、もう一度先輩に尋ねてみた。



「つんちゃんは、‘Like’!」



先輩は大きな声で無邪気に言った。


さっき、空に向かって呟いたときのあの表情はてっきり恋愛感情だと思ってしまった。


とても愛しそうだったから…。



「たぶん、俺、つんちゃんみたいな姉ちゃんが欲しかったんだと思うわ」


「そうなんですか?」


「俺、一人っ子だからさ~。姉ちゃんいたらあんな感じかなぁ?って」



少し無邪気に話す先輩はなんだかとても近くに感じて可愛く見えた。


こんな先輩、学校で見たことない。