その真っ直ぐな視線にあたしは見覚えがあった。


先輩の話すリズムもちょっとした仕草にも。


そうだ、美咲さんに似てるんだ。


いつか、美咲さんに頭をポンと撫でてもらった時に初めてじゃない感覚だったのは、先輩と似ていたから…。


ゆっくり歩きながらも先輩は色々な話をしていた。


その話の内容の殆どが美咲さんだった。



「美咲さんと仲がいいんですね」


「うん」



笑顔で頷く先輩を見ているだけでとても信頼してるのはよくわかる。


だけど…


どうしても気になってしまう。



「先輩って美咲さんの事、好きじゃないんですか?」


「すき?」


「はい」



先輩は少しだけ空を見上げて考えているようだった。


そして、そのまま「好きだよ」と呟いた。


なんでだろう?


どうしてだろう?


わかっていた事なのに、ちょっと悲しい。


先輩の空に向かって呟いた言葉がとても優しくて、美咲さんをとても大事にしていることがあたしにも痛いくらい伝わった。