美しく重なる旋律。


何度聴いても大好きだ。


今までで一番綺麗なカノンだと思う。


軽やかで繊細で…


素敵なメロディーだ。



~♪…



美咲さんが最後の小節を弾き終わり、ピアノの余韻が音楽室に広がった。


少しの沈黙が広がる。


気まずい沈黙じゃない事は誰もがわかっていた。


この音の余韻に浸っていたかった。


軽く手を叩く音でハッとした。


顧問が拍手をくれていた。



「とても爽やかね。素敵だったわ」



優しい笑顔であたし達を見渡した。



「相変わらず綺麗なピアノね。美咲さん」



昼休みに耳にしたピアノもとても綺麗だった。


あたしは歌うこともピアノを弾くことも好きだけど、美咲さんのピアノは格別だった。