本当は誰かに聞いてもらいたかったのかも知れない。


未来が見えなくなってしまって不安だということを。


私の漠然とした不安を1年生の圭介がどこまで理解してるのかはわからない。


だけど、圭介はその時、何も言わずただただ聞いてくれていた。


時折涙する私は圭介の肩を借りて静かに涙を落とした。


どうして私が圭介の肩を借りたのかなんてわからない。


どうして圭介が私を振り払わなかったのかなんてわからない。


ただ…


安心した。


圭介の微かに感じる体温が、空気が。



圭介の肩に頭を乗せている私を時々心配そうに覗き込む圭介。


小さな子がお母さんを心配してるみたいな表情。


その顔を見るとなんだか優しい気持ちになれた。


自然と静かな笑みが零れる。


圭介も小さく微笑む。



私たちの距離は異様に近かったかもしれない。


だけど、その距離に違和感なんて何も感じなかった。


ずっと前から一緒にいた者同士みたいだった。


不思議な感覚だった。