三度、四度そんなことを繰り返したある日、部活のない日だったけど気晴らしに音楽室へ向かった。
無性にピアノに触れたかった。
10年以上習っていたピアノ。
家には仕方なしの電子ピアノしかなかったから、音楽室のグランドピアノは鍵盤の重さもペダルの重さも格が違うように思えた。
譜面を見ずに弾けるクラシック曲を何曲か弾く。
久しぶりに指を動かしたから鍵盤の重さが、こんなにも重いとは思わなかった。
大好きな曲、J.S.バッハの【主よ人の望みの喜びよ】を弾こうと思ったその時、音楽室の扉が開く音がした。
夏の放課後はまだまだ明るかったけど、生徒は帰っているはずの時間だった。
「…誰?」
学校の七不思議を思い出して少し怖くなった。
沈みかけの太陽がこちらを照らしていて、逆光になっていて相手の顔がよく見えなかった。
「美咲…先輩」
かすかな声で呟いたようだった。
声の主が一歩前に出てきた時に、その顔が誰かわかった。
「あ…」
保健室で出会ってすれ違うたびに何となく話をしていた少年だ。
「えっと…」
名前を呼んであげたかったけど、私…名前を聞いていなかった。
というか、自己紹介したっけ?
なんで名前を知っているんだろう?
ふと、疑問に思った。
無性にピアノに触れたかった。
10年以上習っていたピアノ。
家には仕方なしの電子ピアノしかなかったから、音楽室のグランドピアノは鍵盤の重さもペダルの重さも格が違うように思えた。
譜面を見ずに弾けるクラシック曲を何曲か弾く。
久しぶりに指を動かしたから鍵盤の重さが、こんなにも重いとは思わなかった。
大好きな曲、J.S.バッハの【主よ人の望みの喜びよ】を弾こうと思ったその時、音楽室の扉が開く音がした。
夏の放課後はまだまだ明るかったけど、生徒は帰っているはずの時間だった。
「…誰?」
学校の七不思議を思い出して少し怖くなった。
沈みかけの太陽がこちらを照らしていて、逆光になっていて相手の顔がよく見えなかった。
「美咲…先輩」
かすかな声で呟いたようだった。
声の主が一歩前に出てきた時に、その顔が誰かわかった。
「あ…」
保健室で出会ってすれ違うたびに何となく話をしていた少年だ。
「えっと…」
名前を呼んであげたかったけど、私…名前を聞いていなかった。
というか、自己紹介したっけ?
なんで名前を知っているんだろう?
ふと、疑問に思った。