どのくらい眠っていたんだろう?


目の上においていた冷却材はぐにゃぐにゃぐなっていた。


冷やしていたお蔭か瞼は心なしか軽くなっている気がした。


その時、廊下がやけに五月蝿かった。


その五月蝿さは保健室に向かっているようだった。


バンと勢いよく扉が開き、少年の声がこの場に響く。



「せんせー!体育でやっちったー!」


「こら。寝てる人いるから静かにしなさい。せめて怪我した本人が騒ぎなさい」



声の主はどうやら無傷のようだった。


少年は「じゃ、圭介。俺、戻ってるわ」と言い残しその場を去ったようだった。


そして、静かになった保健室には、少なくとも3人が居ることがカーテン越しの私にもわかった。


すっかり眠気が取れた私は上履きを履きながらカーテンを開けた。



「あら。もう大丈夫なの?」



先生の言葉に頷き、私は長椅子に座らされている少年をちらりと見た。


派手にすりむいた膝。


彼は体操着のままそこに居た。


私は何となく教室には行きたくなかったから、近くにあった丸椅子に座り足を組み、先生の机の端っこに肘をつき、その光景を眺めていた。