職員室を通らないように保健室へ向かう。


ペタペタと廊下を気だるそうに歩く。


保健室の扉の周りには色々なポスターのようなものが貼られていた。


猫背はこんなにも健康に悪いとか、カラコンが眼球に及ぼす影響だとか。


そんなこと正直、知ったこっちゃなかった。


私は扉を開けて一応「失礼しまーす」と声をかけてそこに入った。


保険の先生は私の方へ駆け寄り心配そうに言葉をかけてくる。



「どうしたの?」


「頭が痛いでーす」


「そうじゃなくて、目。腫れてない?とりあえず…」



心配してくれた先生の言葉を遮るかのように私はベッドのある方へ向かった。


上履きを脱ぎ捨て、不貞腐れたかのようにベッドに寝転んだ。


先生は何かごそごそと物音を立てていたけど、気にせず私は目を閉じた。


その時、ベッドの傍らのカーテンがシャッと開く音がした。



「美咲さん…、何があったかは聞かないけど、これで目を冷やしなさい」


「…せんせ…」



思わず溢れ出そうになる涙。


このまま零してみるのもいいのかもしれない。


だけど、それはプライドが許さなかった。



「…ありがとうございます。」



私はそれだけを言って、タオルにくるまれた保冷材のようなものを受け取った。


ひんやりと冷たいそれを瞼に置いた。


心地のいい冷たさ。


だけど、私の目は熱を帯びたままだった。