「どうもしてないよ」


「そう?ならいいんだけど…」


「ねぇ、つんちゃん」


「ん?」


「つんちゃんの歌が聞きたい」


「と言うことは?」


「カラオケ行きたい!」



彼女はニッとクールに笑って、アクセルを踏む。


カラオケは駅前にあるんだけど、彼女が車の時は少し遠めの海の近くのカラオケへ向かう。


ドライブがてらに。



「カラオケかー。久々」


「マジ?」


「うん」



心なしか無邪気に笑顔をこぼす彼女。


俺も少しうきうきしていることに気付いた。



「けーすけと一緒に行くカラオケも久々だね」


「あー、そうだね。え?先月行かなかったっけ?」


「先月でしょ?もう1か月も前じゃん」



1か月‘も’…


俺もガキだな。


美咲さんの言葉にコロコロと振り回されてる。


たった、1か月前なのに美咲さんは『久々』と言う。


美咲さんは、俺のいない時間退屈にしていたのかな?


物足りないって思ってたのかな…。