「じゃあ、後輩ちゃんだね」



彼女は、そう言った後に、こう続けた。



「卒業生の美咲つぐみです。一昨年卒業したからかぶってないね。初めまして」



接点は無いと云えど先輩から自己紹介させてしまった。


あたしは慌てて自己紹介をした。



「1年の笹木実子です!ソプラノです!」



何だか訳のわからない不思議な自己紹介になってしまった。


あたしがアタフタしている間に花月はサラっと自己紹介していた。


あたしの慌てように花月に「ぷっ」と笑われてしまった。



少しの沈黙に冷房の機械音だけが流れる。


沈黙を破ったのは美咲さんだった。