その時、ピアノの音も止んだ。


「誰?」


ピアノを弾いていたその人が、こちらへ視線を向けた。


綺麗な栗色の髪に、切れ長の目、艶のある桜色の唇…。


やっぱり知らない人。


どうやらお化けではなさそうだった。


綺麗な人だった。



「1年生?」

「あ…はい」



この学校は学年によってネクタイの色が違うので、卒業生であれば学年を当てることは難しいことではない。



「2人とも合唱部?」

「はい」



あたし達がそう答えると、その人はニコリと笑みを溢し言った。