授業が行われる教室へと向かう。


たくさんの受講者がいるから大きな教室。


先生はマイクをつけて授業を進めていく。


隣には、仲のいい友達がいる。


彼女は先生にバレないように小さな声で聞いてきた。



「ブレイクどこ行ってたの?」


「翔ちゃんと駅前のカフェ行ってた」


「仲いいよね。翔くんと。付き合ってるの?」



どうして人は男女が仲がいいと『付き合ってるの?』と聞いてくるんだろう。


それだけじゃないでしょう?世の中。


こういう質問が私を少しだけ苛立たせる。



「付き合ってないよ。翔ちゃん彼女いるじゃん?」


「え?」



彼女はきょとんとした。


確か4年くらい付き合ってる彼女がいたはずだ。


知らなかったのかな?


でも、知らないのは私の方だったらしい。



「翔くん、別れたんだよ。知らなかった?」


「へぇ~」


「つぐみ知ってると思った」


「今、知った」



彼女は「あ、そうか」と続けてこう言った。



「つぐみ、後輩くんいるもんね。圭介くんだっけ?」


「圭介はそんなんじゃない」


「わかんないよ~?」



彼女は意地悪そうにニヤリと微笑む。


心底、むかついた。


そして、このやり取りが面倒くさかった。