90分の空き時間はもうじき終わろうとしていた。


私たちはそれぞれお会計をして学校へ戻る。



「翔ちゃんさ、私の事ばっかり聞くけど自分はどうなのよ。これ」


「しまえ、小指」


「あはは!しまわないよ。翔ちゃんが教えてくれるまでしまわないー!どうなのよ。これ、これ~」



私は小指を立てて、翔の目の前に執拗に近づけた。


その手を虫を払うような仕草でよける。



「今度な」



と言って、翔は掲示板へと向かう。


ついでに私もそれについていく。



「お前、レポート進んでる?」


「まぁね。優秀だから。私」


「うわー。嫌味~」



私はエヘンと言わんばかりに胸を張った。



「じゃ、俺、真面目に図書室でレポってくるわ」


「じゃあね」


「おう」



翔が二歩三歩と私から離れるとき、私は彼を呼び止めた。



「さっきはありがとうね」



こう言うと、彼は笑いながら「なんもしてねぇーよ」と言い軽く片手を上げて去って行った。