私は少し冷めてしまったカフェモカに口をつけたり、時折リップクリームを塗りなおしたり煙草を吸ったりとしている間に、翔はBLTサンドを食べ終えていた。


彼もまたアメリカンに口をつけセブンスターの煙草に火をつけた。


そして、ぽつりと言った。



「弟が一人の男になるかもしれないぜ?」


「やめてよ」



そんな助言いらないよ。


圭介とのやりとりを知ってる友達は皆に言われる。


『付き合ってないの?』と。


後輩にも影で言われていることは知っている。


高校時代、私も圭介も嫌って程、その噂を耳にしたものだった。


小さく翔をキッと睨む私に、煙草の煙を吐きながら彼は謝っていた。