笑いあう間にも震える携帯。


圭介は今頃授業をさぼっているのだろう。


前に私が教えた、あの場所で。



「忙しいな。お前の携帯」


「そう?」


「さっきからずっと震えっぱなしやん」



翔がふぅっと息を吐き出して、言い辛そうに尋ねてきた。



「そういやさぁ…」


「ん?」



私は店員さんが持ってきたカフェモカに口をつけていた。


翔はBLTサンドを口に運ぶこともなく、こう続けた。



「オトコとどうなった?」


「あぁ、純?」


「うん」


「別れたよ。たぶん…」


「たぶん?」



私の曖昧な答えに納得がいかないのか、翔は眉毛を歪める。



「なんだよ。たぶんって」


「だって、連絡が取れないんだもん」


「そっか…」



翔はそれ以上は聞かなかった。


私はそれでいいと思った。


純の話をしたら、きっと泣いてしまう。